パックのイカ飯 食って
デパートマンが燃えたお話

 せたな町の西田たかおさんは、イカ釣りを中心にした漁師ですが、

 もう一つ水産加工・販売会社「マーレ旭丸」(旧名 旭丸水産)の社長という顔をもっています。

 加工を始めて30年以上。漁師兼加工業の先駆けです。

 今は会員制「北海道海鮮ぱ〜く倶楽部」を中心とした通信販売、

 それに漁の合間をぬってデパートの催事で、全国を飛び回っています。

 色が白く、あまり漁師らしくないので、客からは「ほんとに漁師か」と疑われるそうですが正真正銘の漁師です。



 「一夜干し いか」、「さくらいか」「いか三升漬」などマーレ旭丸の数ある加工品の中に「いかめし」があります。

 この「いかめし」の味と、あるデパートの催事担当者との出合いが、大きなヒットを飛ばすのです。

 とある関西のデパートの催事で、イカ飯は人気がありました。

 ところがそのライバルデパートの営業マンは不思議で仕方がありません。おいしいとは思えなかったからです。

 札幌を訪れたそのデパートマンが飲食店で、うまくなくても売れるイカ飯の話をしていると店の主人が、イカ飯をつくっている漁師のことを教えてくれました。

 翌日はるばる冬道を瀬棚までやってきたデパートマンは西田さんに頼み込んで、パック入りの「いかめし」を温めてもらい、食べてみます。

 それはライバルデパートのイカ飯とはまったく別物だったのです。

 しかしパックの「いかめし」はできても、催事会場でつくる「いかめし」となれば、調理方法がまったくちがいます。

 西田さんは断ったのですが、それからというもの毎日のように電話がかかってきます。

 ついに根負けして引き受けることになりました。

 準備に3ヶ月を費やし、ついに旭丸の「いかめし」がデパートに登場します。

 するとどうでしょう。人の列がとぎれません。

 休憩も満足にとれない状態で、イカ飯づくりが延々と続きました。

 西田さんは不安になってきます。このままでは瀬棚から送ってくる材料が続かない。

 それで夜の8時閉店のところを6時で切り上げてもらうことにしました。

 当日の売上げは100万円を超えていました。翌日からも「いかめし」は大人気でフル生産が続き1週間に及ぶ催事は終了したのでした。

 マーレ旭丸の商品でいま一番売上高の大きいのが「いかめし」。

 あるデパートマンのとの出合いによって、新しいヒット商品が生み出されました。


第五十八旭丸